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経済安全保障・通商プラクティス(対中輸出規制)
特集 2024年10月

経済安全保障・通商プラクティス(対中輸出規制)

2024年10月
更新日 2024年10月2日
業務分野 経済安全保障および通商

対中輸出規制をめぐる最新動向

米国は2022年10月に中国の半導体産業に対する広範囲の規制に踏み切り、また、半導体関連産業で高いシェアを有する企業を擁する日本及びオランダも歩調を合わせようとしています。先端半導体をめぐる米中間の対立がグローバルな広がりを見せる中、経済産業省は2023年3月31日に半導体輸出規制の改正に関する意見の公募を開始しました。経済安全保障問題を巡って世界的に大きな動きがみられるなかで、昨今の動向は、半導体関連産業にとって一つのターニングポイントとなり、また、日中関係にも大きな影響を与える可能性があります。

ロシア・ウクライナ情勢最新情報

2022年2月24日、ロシアがウクライナに対して軍事的に侵攻したことに関して、同月26日、日本政府はEUその他諸国と協調し、ロシアに対する経済制裁を実施しました。日本政府は、その後も追加的な制裁措置を実施しております。

制裁内容の概要は、以下のとおりです。

詳細は、以下ニュースレターをご参照ください。

ロシア・ウクライナ情勢に関するQ&A

A. 個別の契約の条件によりますが、基本的に外国による対ロシア制裁はロシア国内の法令との関係で考慮されませんので、2022年4月7日現在、ロシアにおいて外国制裁を義務の免除の理由とできる可能性は低いように思われます。一方で、ロシアでは、外国制裁の影響により義務が履行できなくなった場合に免責したり、契約の解除を認めるなどを内容とする改正法案が国会(下院)に提出されています。法案では、かかる免責や契約解除の可能性は、「外国制裁に寄与した者」には適用されないとされており、今後の審議や実務において「外国制裁に寄与した者」の範囲がどのように設定されるのか注意を要します。

A. 個別の契約の条件にもよりますが、上記と同様に、外国による対ロシア制裁はロシア国内の法令との関係で考慮されず、また、不可抗力の内容はロシア法に基づき解釈されるため、2022年4月7日現在、外国制裁を理由に契約を解除することは難しい可能性が高いように思われます。この点、上記の改正法案にも留意が必要です。

A. 既に法案としては発表済みですが、2022年4月7日現在、国会(下院)にはまだ提出されていない状況です。今後成立するか否かは不透明ですが、状況につき注視する必要があります。なお、現時点で発表されている法案の内容では、一定の規模の外国企業が事業を放棄するような対応を取った際に、裁判所の決定により外部の管財人による管理下に置かれ、当該企業の事業を別の投資家に売却する等の措置を取ること可能にするものとなっています。
この法案も含め、ロシアでは、海外の制裁に対抗する措置の導入が議論され、日々状況が変化していますので、注意を要します。

【日本】外為法・対内直接投資規制に関する最新動向

「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(いわゆる経済安全保障推進法)上のサプライチェーン強靭化制度の対象となる特定重要物資が指定されたことを受けて、2023年3月9日、指定された物資に関連する事業をコア業種として外為法上の対内直接投資規制の対象とする告示案が公表、パブリック・コメント手続きが開始されました。

新たにコア業種に追加されたのは以下の業種です。

  • 肥料(塩化カリウム等) 輸入業
  • 永久磁石 製造業・素材製造業
  • 工作機械・産業用ロボット 製造業等
  • 半導体 製造装置等の製造業
  • 蓄電池 製造業・素材製造業
  • 天然ガス 卸売業
  • 金属鉱産物 製錬業
  • 船舶の部品 エンジン等の製造業
  • 金属3Dプリンター 製造業・金属粉末の製造業

当事務所における経済安全保障・通商プラクティス

経済安全保障プラクティス
通商プラクティス

当事務所では「経済安全保障・通商プラクティス・グループ」を立ちあげ、国内外の事業会社・金融機関・商社等や、政府系機関等に対して、経済安全保障、通商に関連する幅広いサービスを提供しています。

経済安全保障の分野は、めまぐるしく変わる最新の国際情勢をふまえて、分野・法域横断的な幅広い対応力が求められる新領域です。当事務所は、開設以来培ってきた豊かな国際性と事務所内外のシームレスな連携による即応性を背景として、ニーズや状況に即したリーガルサービスを提供しています。特に、日本、米国、中国、EU、ロシアなど各国における外資規制や直接投資規制、安全保障貿易管理規制、経済制裁、サプライチェーン、サイバーセキュリティ、ビジネスと人権、政府関係取引などにかかる調査、分析、戦略的アドバイスについては豊富な実績を有しています。

また、通商の分野では、日本企業が直面するクロスボーダー・ビジネスの課題を解決するためのツールとしてWTO協定及び経済連携協定その他のルールを用いる重要性が増しています。当事務所は、豊富な国際的ネットワークを背景としてこれら国際通商ルールおよび各国の通商規制の調査・分析・政策提言、日本、米国、中国、インド等におけるアンチダンピング、相殺関税、セーフガード等の調査対応、公共調達規制にかかる法的助言、投資受入国における公正衡平待遇義務違反・収用等への対抗措置としての投資仲裁、投資規制、税関・輸出入管理、通商規制に関する助言および代理業務などを提供しています。

当事務所がこの分野で取り扱う業務の例を以下ご紹介いたします。

経済安全保障プラクティス

1. 日本の経済安全保障法制に関するアドバイス

2. 安全保障的観点からの投資規制の調査、投資に関する手続の遂行

  • 日本外為法に関する投資規制調査及び手続対応
  • 米国CFIUS等に対する手続対応
  • 同種の欧州、中国等の主要国家に対する手続対応

3. 経済制裁に関する調査、制裁によるリスク評価及びアプローチの検討

  • 米国や欧州による経済制裁に関する調査及び対応
  • 中国による措置に関する調査及び対応
  • 対ロシア等の経済制裁に関するアドバイス

4. 人権・リスクガバナンス

  • 人権に関わる基本方針、社内規程等の策定
  • 人権に関わるDD対応
  • サプライチェーンにおける人権リスクマネジメント対応の支援

5. 輸出管理に関わる調査及び対応

  • 輸出管理に関わる社内規則の策定
  • 外為法違反事案の対応・社内調査
  • 米中の輸出管理法制に関わる助言・リスク対応策の策定

6. 知財・技術管理

  • 秘密特許に関わる助言、先端技術の管理に関わる助言
  • 知財に関わる各種社内規則の策定
  • 営業秘密の窃取、漏えい事件に対する対応

7. 安全保障的観点からの契約関連業務

  • 安全保障的観点からの契約でのリスク管理
  • 経済制裁等により契約先や契約内容の変更が必要となる際のアドバイス

8. サイバー・データセキュリティ

  • 主要国の規制の調査及び対応
  • サイバーセキュリティ及びデータの取り扱いに関する社内規程等の策定
  • 個人情報保護に関する社内規程・プライバシーポリシー等の策定
  • サイバー攻撃に遭った場合の対応支援

9. 防衛関連ビジネス支援

通商プラクティス

1. WTO協定、経済連携協定等

  • 規制調査と問題解決
  • 政府当局へのアプローチ

2. アンチダンピング調査・相殺関税調査・セーフガード調査対応

  • 外国政府(中国、インド、米国その他)による日本企業・産業を代理した調査対応
  • 日本の産業を代表した日本での申立業務

3. 投資協定・投資協定仲裁

  • 投資協定・投資協定仲裁の利用に関するアドバイス
  • 投資受入国に対する投資仲裁の申立・対応業務

4. 官庁からの各種受託業務

  • 投資協定・投資協定仲裁の利用に関するアドバイス
  • 投資受入国に対する投資仲裁の申立・対応業務
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